持続化補助金<コロナ特別型> 経営計画書の書き方
この記事では2020年度の小規模事業者持続化補助金<コロナ特別対応型>第3回に初めて申請し、採択された私が経営計画書を書く時に気をつけたポイントを記載しています。公的補助金に初申請で、採択率が34%の持続化補助金<コロナ特別型>第3回に採択された実績となりますので、大きく間違ってはいないと思います。
審査員は初見です
審査員はこの経営計画書を手にとって、5ページの文章から事業者自身の素性や、取り組もうしている事業の内容、その経費が必要な理由、金額の正当性、そしてその事業がどのような効果をもたらし、事業者の経営継続や発展成長に繋がるかを理解する必要があります。
そう考えると、5ページって多くのことは書けないですよね? 所見に人にこれらをすべて効率よく伝えるためには、必要なことだけ書く、余計なことは書かない、というシンプルな文章で書く必要があります。
読む側の立場に立った文章を
審査員は大量の申請を処理する必要があります。審査してもらうためには理解してもらう必要があります。そして理解してもらうためには読んでもらう必要があります。そのために審査員の立場に立って読みやすい経営計画書にする必要があります。
このあたりはビジネス文書の基本を押さえてあれば良いと思います。
・です/ます調の統一
・長すぎない一文(せいぜい2,3行)
・結論を先に、次に詳細を補足する
・それまで出てきていない話はしない
・強調したいところは下線や太字で目立たせる
・数値を使って説得力を出す
・図や写真を使ってイメージを沸かせる
ダラダラと前置きが長い文章は結局何が言いたいのか理解してもらえないことが多いです。まず言いたいことをズバッと言って「今からこの話しますよ」って印象付けさせてから、詳細を説明すると伝わりやすいです。
そして文章には繋がりが大切です。何度も前の文章を読み返さないと内容が伝わらないようでは読み手にストレスを与えるだけです。上から読んでいってスムーズに内容が理解できるようにします。そのためには大枠から説明して、次第に細かい話をするといった感じです。
数値を使えるところは使って説得力を出しましょう。文章で「売上が下がっている」と言うよりも「30%下がっている」と書けばどの審査員にも売上が下がっているとこ、さらにどれくらい下がっているかが理解してもらえます。感覚的な表現は伝わらないので、金額、客数、頻度など数字で表せられるところは数字を使いましょう。
また図を使うことも大切です。数字は細かい違いを把握するのには向いていますが、概要を掴むことが難しいです。構成図やグラフなどを使ってまず全体像のイメージを植え付けて、そこから細かい説明をすると理解してもらいやすいです。写真は情報量が多いので、現在の事業の内容や雰囲気などの”実態”を伝えるには説得力があります。
経営計画書はストーリーが大切
経営計画書は”企画書”であり、この文書で自己紹介、現在の課題と解決法、効果予測を語れるようにしましょう。前述の通り、上から読んでいってスムーズに理解してもらうために、全体としてストーリーがしっかりしていると理解されやすい経営計画書になります。このストーリーがしっかりしていると、ちゃんと練られた経営計画書であることが審査員にも伝わります。
その時に注意したいのは時系列です。
自己紹介(過去→現在)、課題(現在)と解決法(近未来)、効果予測(未来)と時系列が繋がっていると理解しやすいです。
更にSWOT分析の”強み”と”機会”を活かして”脅威”を克服するというストーリーであると審査員にも前向きな事業であることが伝わると思います。
また、人からお金を貸してほしいと頼まれた場合、何を確認しますか?「あなたは誰?」「何に使うの?」「いくら必要なの?」「どうして必要なの?」「いつどうやって返してくれるの?」ということは必ず聞くと思います。経営計画書は少なくともこれらの情報が確実に伝わるように作成しましょう。
2.事業概要(過去→現在):あなたは誰?
これまでどういう事業を行ってきたかの過去から現在までの説明をする。
どのような経歴なのか、得意分野は何かを説明しますが、今回の補助事業に関係しそうな”強み”をアピールしておく。
また市場動向では自身が事業を通じて感じる顧客の想いを”機会”として捉えて、コロナウイルスという”脅威”を克服するかを経営方針としておく。
3.新型コロナウイルス感染症による影響(現在):どうして必要なの?
コロナの影響(売上や客数減少など)がどの程度のものなのかを数字を使って説明する。
またその影響はどのような問題から発生しているかを分析して、解決すべき課題としておく。
「コロナが問題」ではなく「コロナによって何がどうなったか」を明確に伝える。
5.今回の申請計画で取り組む内容(近未来):何に使うのか?
ここでは2で説明した強みを活かして、3で説明した課題をどのような仕組みで解決するのか、具体的な策を説明する。
この時に誰に・何を・どのように提供するのか、それがコロナの前と後でどう変わるのかをしっかり伝える。
その説明の中で後段の支出経費についてはもれなく登場するような説明になっていることが必要。
6.新型コロナウイルス感染症を乗り越えるための取組の中で、本補助金が経営上にもたらす効果(未来):どうやって返すのか?
この補助事業を行うことでどのような効果が期待できて、3の課題を解決できるかの予測を立てる。
もちろん結果的にこの予測どおりにいかない可能性はあるものの一定の仮説を置いておく、理想は補助金額以上の売上が見込めること。
そして支出経費の明細でいくら必要なのかを明記するわけです。
「三方良し」を意識する
補助金は税金から予算が作られているので公益性が必要です。
そのため「売り手良し」「買い手良し」「世間良し」の三方良しをアピールできると評価が高いようです。
公益性というと重いですが、自身の売上のためだけでなく、取組をすることで顧客にとってどのような効果があるのか、更に顧客に与えた効果が世間にどのような影響を与えるのか、そこまで考えた取組を作れるとより採択に近づくはずです。
意外と盲点、支出経費の明細
経営計画書の5枚を書き終えると一安心ですが、最後の支出経費も気を抜かないようにしてください。
この支出経費の内容については、採択結果が出たあとの交付決定までの期間に大きく影響します。
取組が問題なければ無事採択となりますが、その後に交付金額を審査する際に、この支出経費の内容が重要になってきます。
金額の合計が間違っているとか、経費の区分が間違っているのは論外なので、要項をしっかり読み込みましょう。
更に、ここで出てくる支出経費は、経営計画書の取組の中で必ず説明されている必要があります。その説明が無いと「使途不明経費」として修正対象となります。
以上、ざっと走り書きではありますが、これから申請される方の参考になれば幸いです。
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